子どもが成長するに従って、親は子どもに対する関わりを変えていく必要があります。
では、その10訓をみてみましょう。
1.「乳児はしっかり肌を離すな」
胎児期には、文字通り母子はヘソの緒でつながり、羊水の中で守られています。出生と同時に赤ちゃんは外界にさらされ不安になります。その心の安定を保つためにも、しっかりと肌と肌を触れ合わせることが大切です。しっかり抱かれることによって、赤ちゃんは「守られている」「かわいがられている」と無意識のうちに感じ、信頼し安心するのです。それが、愛情や信頼、情緒安定、他人を思いやる心など、人間形成の基盤になります。
2.「幼児は肌を離せ 手を離すな」
幼児は乳離れをしますが、一気に離すのではなく、常に親が手をつなぎながらそばにいることで、「心配しなくてもいいよ」という安心感を与えることが大切です。自立に目覚める幼児期は、完全な保護から社会に向いて一歩を踏み出す時期です。
3.「少年は手を離せ 目を離すな」
少年とは、小学生期のことで、友達との付き合いによって社会性が育つ時期なので、ここではしっかりと手を離し、活動範囲を広げてやらないといけません。ただし、いろんな危険があるので、目を離してはいけません。『論語』にも「父母在せば、遠く遊ばず、遊ぶこと必ず方あり。」という言葉があるのですが、子どもが遊びに行く時には、どこの誰と遊びに行くのかを把握するように努めてください。子どもがそれを親に隠そうとする時は悪事を働く行動を起こすこともあるので、目を離さないようにしましょう。
4.「青年は目を離せ、心を離すな」
青年期にまでなると、完全に自立していくために、自分なりの生きがい、進路を歩んでいくときですが、気持ちの上では、親は子どもに対して心を離してはいけないということです。いずれにしても、子育ての最終的な責任は親にあるという基本を忘れないようにしましょう。
以上は親の子どもの成長にともなう関わりです。
そして、以下のことが子どもの成長に合わせて親が子どもにどのように伝えたら良いかです。
5.小学生は暗くなる前に帰りなさい。
6.中学生は暗くなったら帰りなさい。
7.高校生は日付が変わる前に帰りなさい。
8.大学生は盆と正月には帰りなさい。
9.大学院生は帰れる家があることに感謝しなさい。
10.社会人になったら、今度は自分の子どもが安心して帰ってこれるような家をつくりなさい。
このように、子どもの成長に合わせて関わり方を変えていく必要があります。
子育ての最終的な目標は「自立した大人になる」ことではないでしょうか。
そのためには、子どもとどのように関わっていけばよいのか、ぜひ参考にしてみてください。
勝山幼稚園チャプレン 武井 義定